感想メモ

ネタバレ注意

涼宮ハルヒの消失 感想垂れ流し

・導入からキョンが部室に向かい日常を見せつつ朝からの伏線を入れてく感じとか以外と凝ったシナリオだと思った。

 

・あとやっぱシナリオ内での古泉の有能さすごい。長門の変化の伏線、物語の整理整頓、これからの方向性の提示、キョンの脳内会議では到達不可能な知能指数と全部見えてる有能な立ち位置でもってめちゃくちゃ話を見やすくしてくれる。ハルヒ消失後の世界でも相変わらず有能なのはさすが。みくるちゃんが度々ハルヒに服を剥かれるのは単なるサービスじゃなくて、部室の外でキョンと古泉が2人っきりになるための必要不可欠なタームなんだな。

 

・3時間ものの1本のストーリラインの中でしっかり10時マタギに整理するポイント入るってシナリオの本に書いてあったけどマジだったのはすげえ(ファミレスのシーン)

 

・原作内での自省シーンが長門射撃直前に入るのはやっぱり長門長門が作った世界への拒絶=ハルヒのいる日常の受容というわけで、それまでちょいちょいハルヒに会いたいだことのうじうじ言ってるとことは違う「殻破りました」感が出てて一番好きなシーン。やれやれ系主人公が前向きになる話はそこが一番の盛り上がりですね。氷菓で言う所の遠回りする雛的な。

 

・ただ総じて自分がこの話で最も心震わされた部分は、長門っていうどうにもならんキャラクターをキャラクターたらしめたところにあると言わざるを得ません。消失まではこの長門ってはキャラというよりほぼほぼ「装置」みたいな感じを受けました。他の漫画でもいたりするじゃん、めちゃめちゃすげえ財閥の子供で金持ちだとか、天才ハッカーみたいな、シナリオをスムーズに進めるためだけに属性を持たされた悲しい奴。長門なんてそれの最たるもんで、無力な主人公を追い詰めてシナリオを盛り上げた最に状況打開の鍵になる機能とか装置のようにしか見えていませんでした。しかもご丁寧に感情ないっていう縛りまでついてると。この感情ない奴を機能ではなくキャラ足らしめるのはすっげえ難しいことだと思うんです。でもそれをしたのが消失だと。

ヒロインが何人もいる作品ではそれぞれにキャラクターを立たせる物語とメインストーリーの面白さの両方を求められるものです。消失は長門というロボットが感情を持つというキャラを立たせる物語を謎の核としながら、それがそのままパラレルワールドに主人公がぶっ飛ばされそこでハルヒとの現実・日常を能動的に選び取るっていうめちゃくちゃ面白いメインストーリーと融和してるっていう、もう非の打ち所がない構成ですよね。すげえ脚本だと思います。

 

笑ったり泣いたりしたら(キャラとして)終わりのロボット野郎が、終わらない夏休みで積もり積もったフラストレーションの後押しのおかげでやっと絞り出した感情表現が「パラダイス作ったんでそこで暮らさない?あ、嫌なら大丈夫です・・・」ってあまりにも泣ける話じゃないか。